2008年8月20日水曜日

父親刺殺の15歳少女の動機

先日、父親を刺殺した少女の動機について、産経新聞が詳細を報じている。大変に興味深い。
この子どもの心理は、全く普通のものではないだろうか。
以下、産経新聞から関連部分を引用します。



「また怒られる…」父親刺殺の15歳少女“破滅願望”

8月16日産経新聞

 「人の顔色を見て生きるのに疲れた…」。父親を刺殺した埼玉県川口市の私立中学3年の長女(15)は犯行動機について固く口を閉ざしてきたが、ここにきてようやく胸の内を語り始めた。勉強や対人関係のストレスを抱えて行き詰まり、家族との心中を考えていたという長女。成績の低下を知られれば親に怒られる。親も自分も嫌な気分になる。そうなる前に一家無理心中を-と考えた長女。短絡的なのか、弱すぎるのか、事件を引き起こしたのは長女の「破滅願望」だった。■ようやく語られた「動機」 「お父さんが家族を殺す夢を見たから、殺そうと思った」  逮捕直後、長女の供述に埼玉県警の捜査員は困惑した。 犯行を思い立った時期について問われると、長女は「(犯行直前まで)部屋で寝ていて、目覚めたときに刺そうと思った」などと説明。動機が不明瞭な衝動的な犯行であることをにおわせた。 死亡した父親(46)は包丁で胸と額を刺され、肺に達する傷まであった。15歳の少女がやったとはとても思えないこの凄惨な事件。一部では“覚醒障害説”まで出るに至った。 「覚醒障害は寝ぼけている状態に近い。長女の不可解な言動を説明するには都合がいいが、今回の事件に当てはまる可能性は極めて低い。まずは長女と捜査員の“心の距離”を縮めることが先決だ」(捜査幹部) 長女の趣味であるカラオケやアニメの話をし、多感な年頃である長女の心をときほぐすことに腐心した捜査員。心を開いた長女が事件に至る経緯を語り始めたのは、逮捕から10日以上たったころだった。 「両親によく思われたい」 「人からどう見られているのか、とても気になる性格」 取り調べで長女は、こう自己分析をしてみせた。 「人の目が気になる性格」とは、「他人からよく見られたい」という願望が強いということだろう。長女は実際、親からよく思われたいと自分を縛り続け、それが不可能になったときに暴発したのだ。 長女は小さいころから、両親に言われたことは素直に従う子供だった。勉強はあまり好きではなかったが、「両親によく思われたい一心で、一生懸命勉強に打ち込んできたようだ」(捜査幹部)。 小学生から塾に通い、複数の私立中学を受験。だが、いずれも不合格。なんとか県内にある私立の中高一貫校に入学した。 入学直後の成績は学年上位で、「1年生は(成績が)そこそこだった」と長女。中学卒業レベルの英検3級を1年次で取得するなど、学業に取り組む姿勢も高かった。 長女は2年次の三者面談では、将来の夢を「薬剤師」と明言していた。父親は製薬会社に勤める会社員。薬剤師という夢もまた、「両親によく思われたい」からだったのだろうか。 明確な夢に向かって日々過ごしていた長女だが、2年生の終わりごろから数学の成績が落ち始めた。このことが、事件の遠因となった。 失望される前に「すべてを終わりにしたい」 「数学が苦手になったので、文系に進み、将来は国際的に飛び回る仕事がしたい」 長女は今年1月の面談の際、成績を理由に薬剤師の夢をあきらめかけていることを告げ、新たな夢を語った。 ハッパをかける意味で教頭が「死ぬ気で勉強しなさい」というと、長女ははっきりと答えた。 「はい、がんばります」 長女が本当に薬剤師の夢をあきらめ、新たな夢に向かって歩き始めていたのかは分からない。だが、成績の落ち込みが長女のストレスとなっていたことは間違いないだろう。 長女は、3年の中間試験でも思うような成績が出なかった。母親から注意を受けることも多くなり、イライラすることが増えた。 7月始めに行われた期末試験の結果も悪く、入学時は学年上位だった成績が中位にまで落ちた。さらに追い打ちを掛けるかのように、英会話は追試を受けなければならなくなった。 「成績を知られれば(また)怒られる…」 事件が起きた1月19日には保護者会が予定されていた。成績の低下を両親に知られるのは必至だった。 このとき長女の心を支配したのは、両親から叱責を受ける「恐怖」であり、それを避けるための自暴自棄のような「破滅願望」だったようだ。 「成績が分かって怒られれば、両親も自分も嫌な気持ちになる。その前に、家族全員を殺して、自分も死のう」 長女は保護者会の数週間前から、「すべてを終わりにしたい」と思うようになっていた。 他人の目が気になる長女にとって、両親から失望を受けることは耐えられなかったのだろうか。 父親刺殺の真相は「一番力が強いから」

以下、略。

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